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月刊広報誌 熊本羅針
田﨑が触れた 匠の心のページです。
伝統技を鍛え守り育み伝承する ひたむきな熊本の匠を紹介するコーナー
(株)TAS ART 代表取締役 田﨑 新二
刀剣研師
木村安宏
2010年11月号


刀剣を製作する過程において、刀鍛冶と同じ位重要な役割を担うのが、刀剣に“美と輝き”を与える刀剣研師(とうけんとぎし)であることを知る人は少ないのではないか。「刀を研ぐということは一見地味な仕事ですが、刀剣の善さを引き出すのは研師しだいなのですよ」と話すのは、八代市二見下大野町にある木村日本刀剣鍛錬所の刀剣研師木村安宏さん。29歳にして10年のキャリアを持つ。刀鍛冶の父を持つ木村さんは幼い頃から刀剣に慣れ親しみ育った。高校卒業後、叔父であり刀剣研師の木村兼弘氏の下で4年間の修業を積んだ。刀剣研ぎには、下地研ぎ、仕上研ぎなど数種類の工程があり、下地研ぎだけでも6種類以上の砥石を使い分ける。さらに刀の付根部分、中部分、先端部分でも研ぎ方は異なり、1振の刀剣を仕上げるのに朝から晩まで研ぎ続け、10日以上かかるという。まさに根気のいる作業である。木村さんは言う「今研いでいる刀剣は、過去に自分が研いだものよりも当然綺麗に仕上がっているのですが、完璧ではない。いつも新しい課題が見えてくるのです。おそらく腕は上がっているのだと思いますが、それと同時に課題に気付く眼も養われているのだと思います」。名刀といわれる刀剣は後世まで残る芸術品になる。その美しさを左右する研ぎの世界は奥が深いものだった。