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月刊広報誌 熊本羅針
各界からの提言のページです。
誠実な商い
- 熊本県 副知事 村田 信一 -

御挨拶
この4月1日に県副知事を拝命しました村田です。
中小企業家同友会の皆様とお付き合いが始まりましたのは、今から6~7年前、私が商工観光労働部の次長で、丁度、県内ではニコニコ堂や寿屋などの大型倒産が続いていたころでした。
当時も、大変な不景気でしたが、同友会におかれては、会員それぞれの経営の追求だけでなく、社会への提言組織として広範な行動を起こしていこうと、情熱溢れるものを感じていました。
最近、読んだ本の一文を紹介しながら、この数年、商工、公害、食の安全といった行政に携わった中で、感じたことを少し述べてみます。
商売のやり方の基本
その本は、大石文雄氏(元博多駅長熊本鉄道管理局長)著作の「南蛮屋おゆき~火の国の女~」という小説(発行:株式会社ラスコ)で、加藤清正時代、主人公の「おゆき」が熊本城下の細工町で、女性ながらも、長崎からの南蛮商品の取引で成功し、晩年は宗教的に人間を極めていく物語です。
その中で、「おゆき」が「商売のやり方の基本はなんだろうか」と語る場面があり、その結論として、「商売は自分のためにあるものではなく、お客様、お得意様が欲しいという品物を、出来れば安い値段で、時機をたがえることなく揃えて提供すること。
もちろん商品の品質については、信用を失うようなことは一切しないという、誠実な気持ちで取引することが大事であることと、私どもは更に勉強して、今後要求される物はどんなものかという予測も必要となります。
そのためには世の動きを、シッカリ頭の中に入れておかねばなりません。
いわんや先のことを考えると、この国のおかれた立場とか、将来の展望とか、政治経済、社会全搬にわたる勉強が必要となります。そう考えますとやはり大所高所に立った展望というものを、まず頭の基礎部分において、それから色々考えをめぐらすことが大切なことだと思いついたのです。」と述べるくだりがあります。
小説の中で作者が「おゆき」を通して表現されたものですが、「おゆき」の結論は、まさに「商い」の基本を分かりやすく、的確に述べていると思いました。
今流に言うと、「マーケティング」「変化と挑戦」「信用」「情報収集」等といったところでしょうか。総論的で、当たり前すぎることなのでしょうが、最近の成功事例や破綻事例を見ると、結局、この当たり前の一文に集約されているような気がいたします。
「変わる」ことへの果敢な挑戦
この数年、多くの企業の盛衰をみる機会がありましたが、元気がいい企業に共通して印象づけられたことは、現状に安閑とすることなく、絶えず「変わる」ことへ果敢に挑んでいるということでした。
このことは、総論的、観念的には理解できても、現実的にはなかなか難しいものがあると思います。
しかし、我々の周りをみても、必ず、現状に胡座をかくことなく、常に「変わる」ことを実践し、成功している経済活動事例は少なくありません。
逆に、現状に安閑とし、停滞した時点で、企業の将来は「下り坂」となっているのではないでしょうか。
誠実と信用
また、この2~3年、公害や食の安全問題に関わって、「誠実な商い」が如何に大切であるかを目の当たりにしました。そして、信用を築くことは難しいが、壊すことに時間を要しないことも実感しました。
県内の事例でも、皆様御承知のとおりです。
同友会がめざす「社会的使命感に燃えて事業活動を行い、国民と地域社会からの信頼や期待に高い水準で応えられる」企業像に、大いに期待するところです。